ITパスポート頻出のマーケティング用語とは?初心者向けに戦略の基礎をやさしく解説
ITパスポート試験の「ストラテジ系」で必ず出題されるのがマーケティングの知識です。専門用語が多く難しく感じますが、実は私たちの身近な買い物の仕組みそのものです。
ITパスポート試験に頻出する「マーケティング」の全体像と、戦略立案に欠かせない「3C分析」「SWOT分析」「STP分析」という3つの重要フレームワークが、初心者でもイメージで理解できるようになります。
生徒
「ITパスポートの勉強を始めたんですけど、マーケティングの用語が多すぎて混乱しています。3CとかSWOTとか、アルファベットばかりで覚えられません!」
先生
「確かに最初は呪文のように見えますよね。でもマーケティングとは、簡単に言うと『売れる仕組みを作ること』なんです。自分たちの商品を誰にどうやって届けるか、その作戦会議の道具がこれらの用語なんですよ。」
生徒
「作戦会議の道具……。IT未経験の私でも、使いこなせるようになりますか?」
先生
「もちろんです。例えば『近所に新しいカフェを開くならどうする?』という身近な例えで考えれば、スッと頭に入ります。試験で狙われるポイントを絞って、一緒に見ていきましょう。」
1. ITパスポート試験におけるマーケティング用語の重要性
ITパスポート試験は、単にIT(パソコンやネットワーク)の知識だけを問う試験ではありません。ITを使ってどのようにビジネスを成功させるか、という「経営の視点」も非常に重要視されています。その中核となるのがマーケティングです。
マーケティングとは、顧客が求めているものを理解し、価値を提供して、対価(利益)を得るまでの一連の活動を指します。試験では、効率よく作戦を立てるための「フレームワーク(思考の枠組み)」が頻出します。
なぜITの試験でこれが出るのかというと、今の時代、マーケティング戦略を立てるには「ITによるデータ分析」が欠かせないからです。まずはITを活用する前段階の「戦略の立て方」を理解しましょう。試験では以下のパターンで出題されます。
- ◯◯分析の「説明文」として正しいものを選べ
- 具体的な事例(例:競合店を調査した)がどの分析に当たるか答えよ
- フレームワークを適用する順番(流れ)を答えよ
2. 戦略立案の基本となる3C分析・SWOT分析とは
作戦を立てるには、まず「現状がどうなっているか」を調べなければなりません。これを「環境分析(かんきょうぶんせき)」と呼びます。ITパスポートで最も重要なのが3C分析とSWOT分析です。
3C分析(サンシーぶんせき)
3C分析は、3つの「C」から始まる単語の視点で市場を整理する手法です。
- Customer(市場・顧客):お客さんは何を求めているか?市場の規模は?
- Competitor(競合):ライバル店は何を売っているか?どんな強みがあるか?
- Company(自社):自分たちは何が得意か?どんなリソース(経営資源)があるか?
例:新しいラーメン屋を開くとき、「こってり系が流行っている(Customer)」「隣の店はあっさり系だ(Competitor)」「自分はこってりスープを作るのが得意だ(Company)」と整理するのが3C分析です。
SWOT分析(スウォットぶんせき)
SWOT分析は、内部環境(自分たちのこと)と外部環境(世の中のこと)を、プラス面とマイナス面で4つの要素に分ける手法です。
【内部環境(自分たち)】
・Strengths(強み):他社より優れている点
・Weaknesses(弱み):他社より劣っている点、苦手なこと
【外部環境(世の中・市場)】
・Opportunities(機会):追い風となるチャンス(例:法改正、流行)
・Threats(脅威):向かい風となるリスク(例:不況、強力なライバルの出現)
試験では、「強み・弱み・機会・脅威」という4つの漢字を見たらすぐに「SWOT分析だ!」と判断できるようにしておきましょう。内部環境か外部環境かを区別する問題もよく出ます。
3. 標的市場を定めるSTP分析の考え方
現状を分析したら、次は「誰をターゲットにして、どんな立ち位置で戦うか」を決めます。これを行うのがSTP分析です。STPとは、以下の3つの英単語の頭文字を取ったものです。
-
Segmentation(セグメンテーション:市場細分化)
不特定多数の顧客を、年齢、性別、地域、趣味などの共通点でグループ分けすることです。「20代女性」「都内在住の会社員」といった切り口で市場をバラバラに分解します。 -
Targeting(ターゲティング:標的市場の決定)
細分化したグループの中から、自分たちが狙う特定のグループ(ターゲット)を絞り込むことです。すべての人の要望に応えるのは難しいため、「今回はここを狙う!」と決めます。 -
Positioning(ポジショニング:独自の立ち位置)
ターゲットとした顧客の頭の中に、自社の商品がライバルと比べて「どう違うのか」という独自の立ち位置を築くことです。例えば「一番安い」や「一番オシャレ」といったイメージの定着です。
ITパスポート試験の「出題イメージ」としては、以下のような具体例が出されます。
【STP分析の例:高級食パン専門店】
S:パンを食べる人を「朝食はパン派」「ギフト用」「安さ重視」に分ける
T:その中から「少し高くても自分へのご褒美やギフトにしたい人」を狙うと決める
P:他店が「日常使い」なら、自店は「高級ワインに合うパン」として差別化する
このように、「分ける → 絞る → 位置づける」という流れがSTP分析のキモです。ITパスポートでは「セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングの頭文字である」という基本知識がよく問われます。
ここまでで「現状を分析し、狙いどころを決める」までの用語を学習しました。次回の記事(中盤)では、決めたターゲットに対して具体的にどうやって売っていくかという、より実践的な用語「4P・4C」や「消費者行動モデル」について解説していきます。
4. マーケティング・ミックス(4P・4C)の構成要素
市場分析を行ってターゲットを絞り込んだら、次は「具体的にどのようにして商品を売るか」という実行プランを立てます。この具体的な戦略の組み合わせをマーケティング・ミックスと呼びます。ITパスポート試験では、企業側の視点である「4P」と、顧客側の視点である「4C」を対比させて理解することが合格への近道です。
売り手視点の「4P」
4Pは、企業が商品を販売する際にコントロールできる4つの要素の頭文字をとったものです。
- Product(製品):どのような機能やデザインにするか。品質、パッケージ、サービス内容。
- Price(価格):いくらで販売するか。割引率、支払い方法、定価設定。
- Place(流通):どこで、どのようなルートで届けるか。店舗販売、ECサイト、卸売。
- Promotion(販売促進):どのようにして知ってもらうか。広告、SNS、キャンペーン。
買い手視点の「4C」と対応関係
近年では、企業からの一方的な視点ではなく、顧客からどう見えるかという「4C」の重要性が増しています。試験では、4Pと4Cがどのように対応しているか、という組み合わせ問題が頻出します。以下のリストで関係性を整理しましょう。
- Product(製品) Customer Value(顧客価値):その製品にどんな価値があるか
- Price(価格) Cost(顧客コスト):手に入れるためにいくら払うか
- Place(流通) Convenience(利便性):買いやすさ、手軽さ
- Promotion(販売促進) Communication(対話):情報のやり取り、納得感
例えば、ネットショップ(Place)を構築することは、顧客にとって「いつでもどこでも買える利便性(Convenience)」を高めることにつながります。このように、企業側の活動が顧客にどのようなメリットを与えるかをセットで考えるのがマーケティング・ミックスの本質です。
5. 顧客の購買心理を読み解く消費者行動モデル
マーケティングの作戦が固まったら、次はお客さんがどのように商品を認知し、購入に至るのか、その「心の動き」を分析します。これを消費者行動モデルと言います。ITパスポート試験では、時代の変化に伴う2つのモデルの違いが狙われます。
AIDMA(アイドマ)の法則
テレビや新聞などのマス広告が主流だった時代の基本的なモデルです。
- A(Attention):広告などで商品を知る(注意)
- I(Interest):面白そうだなと思う(興味)
- D(Desire):欲しいなと思う(欲求)
- M(Memory):名前を覚える(記憶)
- A(Action):お店に行って買う(行動)
AISAS(アイサス)の法則
インターネットやスマホが普及した現代、ITパスポート試験で最も重要視されるモデルがこれです。AIDMAとの最大の違いは、ネット特有の「検索」と「共有」が含まれている点です。
- A(Attention):商品を知る(注意)
- I(Interest):興味を持つ(興味)
- S(Search):ネットで口コミや評判を調べる(検索)
- A(Action):ポチッと買う(行動)
- S(Share):SNSやレビューサイトに感想を書く(共有)
6. 競争優位を確立するためのマイケル・ポーターの基本戦略
マーケティングを実行する際、ライバル企業(競合)にどのように勝つかという指針も必要です。経営学者のマイケル・ポーターが提唱した「3つの基本戦略」は、試験で非常によく出る超重要テーマです。企業は以下のいずれかの方向性を目指すことで、競争を有利に進めます。
-
① コストリーダーシップ戦略
他社よりも圧倒的に安く作ることで、価格競争に勝つ戦略です。大量生産や自動化によって、同じ品質なら一番安く提供することを目指します。例:大規模チェーン店、格安航空会社。
-
② 差別化戦略
価格ではなく、機能、デザイン、ブランド力など、他社にはない「独自の価値」で勝負する戦略です。「高くてもこれが欲しい」と思わせる魅力を作ります。例:高級ブランド、独自の特許技術を持つメーカー。
-
③ 集中戦略
市場全体を狙うのではなく、特定の地域や特定の客層(ニッチな分野)にだけ全力を注ぐ戦略です。ターゲットを限定することで、その分野では他社に負けない強みを発揮します。例:特定の病気に特化したクリニック、マニア向けの専門ショップ。
試験対策のヒントとして、これらの戦略は「どれか一つを選んで突き詰める」ことが大切だとされています。安さも独自性も中途半端になってしまうと、ライバルに埋もれてしまうからです。これを「スタック・イン・ザ・ミドル(どっちつかず)」と言い、避けるべき状態とされています。
ここまでで、具体的な販売手法(4P/4C)、顧客の心理プロセス(AISAS)、そしてライバルに勝つための基本戦略を学びました。マーケティングの基礎知識は、ITパスポートの試験問題の中でも「イメージが湧きやすく、点数が取りやすい」分野です。
いよいよ次の後半記事では、企業の「製品の組み合わせ」を考えるPPMや、成長の方向性を分析するアンゾフのマトリクスなど、少しレベルアップした頻出用語を解説します。最後まで一気に駆け抜けましょう!
7. 製品の寿命を見極めるプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)
企業が複数の製品や事業を抱えている場合、すべての事業に均等に資金を投入するのは効率的ではありません。どの事業にお金をかけ、どの事業から撤退すべきかという「経営資源の最適配分」を判断するためのフレームワークがPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)です。
ITパスポート試験では、これら4つの領域の名前と特徴が正しく結びついているかが問われます。それぞれの「キャラクター」をイメージして覚えましょう。
-
① 花形(Star)
【市場成長率:高 / 市場占有率:高】
売上も大きく伸びていますが、ライバルとの競争も激しいため、市場シェアを維持するために多額の投資が必要な状態です。将来「金のなる木」になることが期待される有望株です。 -
② 金のなる木(Cash Cow)
【市場成長率:低 / 市場占有率:高】
市場の伸びは落ち着いていますが、自社のシェアが高いため、投資を抑えても効率よく利益が出る「稼ぎ頭」です。ここで稼いだ資金を「問題児」などの育成に回します。 -
③ 問題児(Question Mark)
【市場成長率:高 / 市場占有率:低】
市場は急成長していますが、自社のシェアがまだ低い状態です。多額の投資をして「花形」に育てるか、撤退するかを判断しなければならない段階です。 -
④ 負け犬(Dog)
【市場成長率:低 / 市場占有率:低】
市場も伸びず、シェアも低い領域です。利益も将来性も期待できないため、早期の撤退や事業縮小を検討すべき段階とされます。
試験対策としては、「金のなる木で稼いだ資金を、問題児に投資して花形に育てる」という戦略的な流れを理解しておきましょう。また、縦軸(成長率)と横軸(占有率)が入れ替わって出題されることもあるので注意が必要です。
8. 成長の方向性を決めるアンゾフの製品・市場マトリクス
企業がこれからの成長戦略を立てる際、「どのような製品」を「どのような市場」に投入するかを整理する手法がアンゾフの製品・市場マトリクス(成長マトリクス)です。市場と製品をそれぞれ「既存」と「新規」の2つに分けて考えます。
-
① 市場浸透(既存市場 × 既存製品)
今の市場で、今の製品をもっと売る戦略です。広告を増やしたり、購入頻度を上げてもらったりして、シェアを拡大することを目指します。最もリスクが低い戦略です。
-
② 新製品開発(既存市場 × 新規製品)
既存のお客さんに向けて、新しい製品を開発して売る戦略です。例えば、スマホメーカーが周辺機器やサービスを新たに販売するようなケースがこれに当たります。
-
③ 新市場開拓(新規市場 × 既存製品)
今ある製品を、新しい市場(未進出の地域や異なる年齢層など)に売り込む戦略です。海外展開などが代表的な例です。
-
④ 多角化(新規市場 × 新規製品)
新しい市場に対して、全く新しい製品を投入する戦略です。最もリスクが高いですが、成功すればビジネスの柱が増えます。IT企業が金融事業や配送事業に参入するなどが代表例です。
9. ITパスポート頻出のマーケティング用語チェックリスト
ここまで紹介したフレームワーク以外にも、ITパスポート試験でよく見かけるマーケティング用語はたくさんあります。特にIT技術と深く関わるものを中心に、以下のチェックリストで最終確認をしましょう。
| 用語名 | ITパスポート試験でのキーワード・意味 |
|---|---|
| CRM(顧客関係管理) | 顧客一人ひとりの情報を詳細に記録・管理し、きめ細かな対応で満足度を高める手法。ITを使って顧客と良好な関係を築くことが目的。 |
| SFA(営業支援システム) | 営業担当者の商談進捗やスケジュールをITで共有し、営業活動を効率化する仕組み。「日報の電子化」や「商談プロセスの見える化」。 |
| LTV(顧客生涯価値) | 一人の顧客が、取引を始めてから終わるまでの間に、企業にもたらす利益の総額。CRMの重要な指標となる。 |
| ダイレクトマーケティング | 中間業者を通さず、メールやDMなどで直接ターゲット層にアプローチし、双方向のコミュニケーションをとる手法。 |
| バイラルマーケティング | SNSや口コミを利用して、ウイルス(Viral)のように情報が拡散していくことを狙う手法。 |
| オムニチャネル | 実店舗、ECサイト、SNSなど、あらゆる販売経路を連携させ、顧客がどこでも同じように買い物ができる環境を整えること。 |
| フリーミアム | 基本的なサービスは「無料(Free)」で提供し、より高度な機能やアイテムを「有料(Premium)」で販売するビジネスモデル。 |
これで、ITパスポート試験に出る主要なマーケティング用語の解説は一通り完了です。専門用語は、最初は難しく見えますが、実は日常生活で目にするコンビニの陳列や、スマホアプリの広告など、身近な出来事とリンクしています。
「このお店は差別化戦略だな」「あ、このアプリはフリーミアムだ」といった具合に、身の回りのサービスを分析する癖をつけると、試験対策だけでなく、実際のビジネス現場でも役立つ生きた知識になります。最後まで頑張って、合格を勝ち取りましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事があなたのITパスポート合格の一助となれば幸いです。
次はどの分野を学習しますか?